2014/9/17(水)~2014/9/21(日)
中野ザ・ポケット
【出演者】
相沢まき 畠山U輔 石塚あつこ 内藤千紗 宮澤正 棚橋幸代 村井美和 渡辺栄子 すわいつ郎 仲沢景 葉山昴 志野リュウ 松波凛(彩音凛) 内田晃一 野中翔太 辻博己 原武之 小林愛里 川口清人
作・演出:川口清人(東京カンカンブラザーズ)
協力プロデューサー:菊池誠
舞台監督:今泉馨・杉田麻諭果
照明:若林恒美
音響:宮崎裕之(predawn)
音響オペレーター:中山ひとみ
舞台美術:斉藤樹一郎
美術助手:佐藤あやの
チラシデザイン:COCON
制作:しむじゃっく
企画・製作:東京カンカンブラザーズ
【あらすじ】
ある日、結婚したという娘の手紙を頼りに母がその住所を訪ねる。
しかし、急な仕事とかで娘は家にいなかった。
代わりにそこにいたのは、一癖も二癖もある奇妙な家族の面々。
実はその家族たち、お金で雇われた『疑似家族』だったのだ。
急きょ結成されたニセ家族は、母親に嘘がバレないように奮闘する!
果たして彼らは、任務を全うできるのか?!
やがて、娘が『疑似家族』を雇った理由が明らかに……
夏の終わり、カンカンが最高に笑えてホロリと泣ける作品をお届けします!!
【作品解説】
第8回目は、カンカンお馴染みの中野ザポケットで、今回プロデューサーにも協力していただき、川口清人が2作品ぶりの役者としても参加した公演であった。
前作品とは打って変わってコメディ主体の作品。
物語は主人公の新原柚(にいはらゆず)が事件に巻き込まれ姿を消した、そんな矢先、10年ぶりに柚の母親が田舎から会いに来るところから始まる。
柚の育ての親でもあるヤクザの親分の指示のもと、派遣社員を中心にホームレスや売れない役者、パチンコ好きな主婦が疑似家族として母親を招き接待するが・・・そこには家主の娘の中学生に近所でスナックを経営するゲイ、そしてお馴染みのバカで憎めないヤクザ達と数々の個性的なキャラクターが登場し、てんやわんやな状態に・・・。
最後まで、笑いの要素をちりばめておきながらも、ストーリーの筋はカンカンらしさを全開に、母親が娘に会いに来た理由や、娘が疑似家族を雇ってでもウソをつく理由、また、疑似家族達にもそれぞれの想いがあり、笑いながらもホロリとくる、家族とは何かを考えさせられる作品であった。
今回も連日の満員御礼で大盛況のうちに幕を閉じることができた。次回もプロデューサーは協力してくれるのか、川口は役者として出演するのか、吉祥寺シアターで10日間もやってお客様は観に来てくれるのか・・・と思いつつ、次回公演に向けて、とりあえず勢いと調子に乗っているカンカンブラザーズだった。
【今だから言える話】
ヤクザ役で2作品ぶりの出演となった川口、毎度のことながら手持ち小道具の忘れ物が多いため、
今回は出番前、畠山に「携帯忘れないでくださいね」と声をかけられていた。
「おう大丈夫や」と意気揚々と舞台に上がった川口だったが、もっとも重要な小道具の拳銃を忘れていた。
だが、そこは主宰の川口。舞台上では何事もないように「ちょっと待っとけや」と退出し、拳銃を持って再登場するというファインプレーを見せた。
しかし、その足元は革靴ではなくクロックスであった。
畠山の役名は当初「仁科(にしな)」だったが、名前を呼ばれるたびに「ニシダ」と聞こえたため、
「西田(にしだ)」に役名が変更になった。ちなみに名前を呼ぶのはほとんど社長役の棚橋であった。
カンカンで恒例となりつつある誕生日サプライズ。
今回のターゲットは本番中に誕生日を迎えた菊池プロデューサー。
協力プロデューサーにもサプライズを仕掛けるなんて、色んな意味でドキドキだった。
内容は、本番前の返し稽古(練習のこと)で、劇団員の内藤が膝を負傷し本番出演が危ういという
笑えないサプライズを仕掛けた。
実は内藤は稽古初日の前日、道で転んで膝を負傷していた。
数日間は松葉杖での生活を余儀なくされ、一番心配してたのは菊池であった。
まさに恩を仇で返すようなサプライズは決行された。
ドタドタと階段から落ちるフリをして、菊池を舞台前に呼び出す。
内藤はここぞとばかりに涙を浮かべ
「膝を打ってしまいました・・でも本番はやれます、大丈夫です、すみません…すみません…」
と仕掛け人の役者どもですらウルッとくる演技をみせた。
「すぐ冷やしたほうがいい!」と真っ先に氷を買いに行こうとする菊池。
その行動力に驚きながらも、実際に買いに行かれるとまずいと皆があたふたしていると、
野中が「もう買いに行ってます」と機転の利いた一言でそれを阻止。
まさにチーム一丸となっている中、袖でケーキを用意しながら、その様子を見ていた石塚がひとり、終始ニヤけていたという目撃情報がある。
サプライズ時には、劇団員だけが笑いを堪えきれずニヤけている姿を何度も目撃されている。
菊池は、日頃から何かあった時は俺が一番冷静にならないといけないと語っていた。
しかし、どこも怪我をしていない、むしろ完治したばかりの内藤の膝をさわって一言、
「熱い・・・やっぱり熱がある!!」…全然冷静じゃなかった。
もうダメだ、誰もが笑いを必死にこらえる中、ハッピーバースデーの音楽とともケーキを持ってネタ晴らし。思わず正座をして鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしながらも心底喜んでくれた菊池プロデューサーであった。
なお、打ち上げ時には「内藤の膝には本当に熱があったんだ」と語っていた。
